2014/06/27

【読書】 金融政策のフロンティア 国際的潮流と非伝統的政策 翁邦雄



現代の金融政策は教科的なマクロエコノミクスからは相当乖離しているので、その橋渡しを試みた本書は市場関係者にはありがたい解説書である。そもそもリーマンショックの以前から、教科書に登場する3つの金融政策ツール、すなわち①公開市場操作、②準備率操作、③公定歩合操作のうち、実際に使われているのは①だけだったのだが、リーマンショック後に各国の政策金利がゼロ近辺に低下する中で、様々な政策が試みられるようになる。すごく大雑把に二分すると、下記のようになるだろうか。

①金融システムの安定化を目指すもの
・FRBのCP購入ファシリティ創設等の直接の信用供与、GSE債購入等の「信用緩和」
・過度な流動性懸念や信用リスク懸念により毀損した市場機能の回復を企図し、主に金融危機直後に重点的に実施された

②短期金利のゼロ金利制約に直面する中で、長期金利の低下を目指すもの
・時間軸政策(日銀の政策継続に関する「コミットメント」やFRBの「フォワードガイダンス」)
・長期国債の購入やFRBのオペレーションツイスト

FRBの一連の緩和策はQE(Quantitative Easing、量的緩和)と俗称されて来たが、バーナンキや当時サンフランシスコ連銀の総裁だったイエレンは2008年に最初の緩和策を導入した当初からFRBの政策と日銀の量的緩和との違いを強調している(バーナンキ自身は、第一弾をCredit Easing/信用緩和と呼んだ)。FRBによる信用供与は一時的にフリーズしている市場機能の回復を企図したものであり、FRBのバランスシートの拡大は市中の金融機関がそのファシリティを利用するニーズに依存しており、したがってバランスシートのサイズ自体を政策目標にすることはなかったのである。

なお、日銀やBOEの量的緩和に関してはその狙いが複雑である。最も単純な解釈は、ベースマネーの拡大がマネーストックの拡大と物価上昇に繋がるというマネタリズム的ロジックに期待をかけたというものだが、量的緩和が導入された2001年当初から、こうした効果は疑問視されていたようである。BOEも、2009年導入当初は物価上昇の効果を期待していたふしがあるが、それが一向に現れてこないことを受けて徐々に看板を書き換えていった。

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