2015/03/01

【読書】 イスラム国 テロリストが国家をつくる時 ロレッタ・ナポリオーニ



イスラム国の実像に迫ろうと試みた本。同じことの繰り返しが多くやや冗長だが、ポイントをまとめると、以下のようになろう。

・領土を持った国家の建設を明確に目指した点で、イスラム国は他のイスラム過激派とは一線を画す。遠く離れたアメリカに対して戦争を仕掛けたアルカイダとは異なり、ISISはシリアおよびイラクの一定の地域で地歩を固めることに注力した。

・そのためにまずはシリアの内戦を巧みに利用した。現在シリアは、アサド政権、反政府勢力、ISISの三つ巴の戦いとなっているが、当初ISISはアサド政権の打倒を目指すスンニ派武装勢力のひとつとして資金援助を得て、勢力を拡大した。
アサド政権は、主にレバノンのヒズボラ(シーア派)を介してイランからの支援を受けており、ロシアからも武器の提供を受けている。一方反政府勢力のスポンサーは、サウジアラビア、クウェート、カタールなどの産油国であり、アメリカも支援してきた。

・また、スポンサーからの経済的な自立を目指していくつかの資金源を確立させた。①地元の部族と組んで行う原油の採掘と密輸、②身代金ビジネス、③領内の銀行や企業への課税等である。(④小口の寄付、等を活用しているとの報告も、最近出されている)

・さらにISISは、国家建設を見据えて住民の支持を得るために、医療やインフラ整備に資金を投じている(これ自体はヒズボラやPLOも昔からやっているので大して新しいことではない)

・また、支配地域の女性を強制的に兵士と結婚させており、これは兵士の志気を保つためでもあるが、住民の同化を進める上でも効果的である。強制された結婚であっても、子供が生まれれば母親はその子の父をかばい、守ろうとするからである(古代ローマでも同様の戦略がとられたとのこと)

・インターネットを駆使したマーケティングが奏効している

・最初の首謀者であるアル・ザルカウィ、そしてその死後に後を継いでカリフと自称するアル・バグダディは、これらのことを数年前から周到に計画し、着実に実行してきた。

読書 | Comments(0) | Trackback(0)
Comment

管理者のみに表示