2017/10/17

【読書】 未来の年表 人口減少日本でこれから起こること 河合雅司



政府機関等の各種推計を統合することで、日本の未来を描き出した労作。引用されるのは全て公開情報で、大規模な独自調査は行っていないし複雑な理論が出てくるわけでもないので、やる気と根気さえあれば本来誰にでもできるはずだが、なかなかここまで丹念にデータを集めることはできない。

既知のことも多いが、改めていくつか重要な視点をまとめてみる

・高齢者が激増するなかで、65-74歳は既に2017年に減少に転じ、高齢者の中身が75歳以上の「後期高齢者」にシフトしていく。当然、介護・医療ニーズが増える。特に首都圏で、キャパが不足し、配偶者に先立たれた独居老人が子どもを頼って上京するようになると、更に逼迫する
・子どもをあまり産まなかった世代が要介護世代に入るため(という書き方を本書はしていないが)、介護離職が激増
・一方で地方の人口はスカスカになり、銀行やスーパーから老人ホームまで、あらゆるインフラの営業が成り立たなくなって撤退が進む。更に無人島の増加は国土防衛の危機にも繋がる
・空き家問題は、地方でも都心でも深刻化
・増えすぎた大学は閉鎖・統合が不可避

要するに、大都市では総人口はあまり減らずに高齢者の実数が増える。地方では総人口が減り、高齢者の数はあまり変わらない。
したがって、大都市では高齢者を受け入れるキャパの不足が問題となり、地方では人口減少に伴う限界集落の増加が課題となる。これらの峻別が重要だ。

本書では、上記以外にも火葬場や輸血に至るまで、多岐に亘って考察している。市場が機能する分野ではニーズを汲み取るサービスが生まれるだろうが、政府が供給をコントロールする分野では、大学に見られるように、すでに破綻の兆しが見えている。

政府は余計な介入をせず社会全体でリスクを分散することも重要だが、コンパクトシティなど政治・行政の指導力が必要な分野もある。

人間の、そして日本人の対応力は信頼しているが、問題山積み過ぎて、読後にため息が出た一冊。




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