2011/10/22

市場最悪級の企業不祥事をまともに報じない日系大手メディア

老舗のカメラ・内視鏡メーカーが、信じられないような不祥事に手を染めていたことが指摘されている。

現在明らかになっている問題は2点。
①ジャイラスというイギリスの会社を約2千億円で買収する際に、ファイナンシャルアドバイザー(FA)に総額660億円もの報酬を支払った
②売上10億円にも満たない会社3社を総額734億円で買収していた
というものである。以上の事実は会社自身が認めている

①2千億円規模の会社の買収に係るFA報酬の相場はせいぜい2~30億円程度で、660億円などという金額は明らかに法外である。会社側は、そのうちの半分以上を占める優先株の買取部分は、「優先株の時価の値上がり分」などと説明しているが、優先株を除いた約200億円だけでも十分法外である。また、優先株は、報酬の一部を現金ではなく優先株の形で払ったという話だが、要は報酬金額に比べて圧倒的に有利な条件(毎年一定の多額の配当を永久に払い続けることになっているようである)の株を発行しておいて、後になってからその有利な条件を加味した価格で買い戻したというだけである。
「時価の値上がり」という言葉によって、会社には左右できない外部の市場環境の変化という印象を与えることを狙っているのだろうが、条件は発行時に会社がFAと交渉して確定済みであり、そんなまやかしは見る人が見ればすぐにバレる。

②3つの小規模な会社の買収に関しては、外部機関が買収価格の適正性を審査した意見書が流出しているが、この意見書がまたひどい。2008年2月に作成された当該書面の10ページに事業計画が載っているが、2008年度から2012年度までの5年間で、売上が6億円から194億円まで30倍になり、純利益は赤字から42億円の黒字に激増する推計になっている。こんなバラ色の事業計画を前提にすれば288億円の値がついても不思議はないが、それを鵜呑みにして投資するとは、正気の沙汰とは思えない。案の定、翌年に投資額のほとんどを減損する*ことになった。

*回収の見込みが無い・価値が無いと認めて評価額を切り下げること

解任されたウッドフォード前社長が上記2点を指摘したのに対して会社側は何ら具体的な反論を行っておらず、「適正に処理した」などと題目のように繰り返すばかりである。事実が確定したわけではないが、明らかに怪しいのは現経営陣の側であり、2件合わせて1,400億円近くの会社のお金を意図的に外部に流出させたとしたら、前代未聞の大問題、日本の企業史上最大級の犯罪的な不正行為である。株主が拠出した資金を元手に、多くの一般社員が真面目に働いて生み出したお金が、このような形で得体の知れない人々の手に渡り、闇に葬られたことは、断じて許すまじきことである。会社の金を1,400億円も浪費した疑惑に真摯な説明をせず、疑惑を告発した前社長に対しては会社の価値を損なったので法的対応も検討するなどと言ってのける現経営陣には、怒りを通り越して呆れるほかない。

ところが日本の大手新聞は、「内紛劇」などという言葉を使って双方の主張を「両論併記」し、あたかもそれぞれに言い分のある異なる主張が対立しているかのような構図を描いて報道し、後は海外メディアの報道を紹介するくらいで、ほとんど追及らしい追及をしていない(下記リンク先参照)。
ここまで明白に説得力の異なる主張を両論併記しかできないのは、公正な報道姿勢を欠いているか、さもなくば企業財務を全く理解できていないからだと言わざるを得ない。重要な広告主なのは分かるが、あまりにあからさまな贔屓は、既に失っている信頼を更に失墜させることになるだろう。


(参考)

オリンパス“内紛劇”泥沼 英社買収めぐり対立、市場不安高まる

オリンパス、前社長の経営陣への辞任要求「解職と直接関係せず」



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